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家族信託

家族信託終了時のお手続き(不動産)

目次

家族信託が終了するとき

家族信託は、いつ終了するのでしょうか?
基本的には家族信託契約書に記載された、信託終了事由の発生によります。
主なものとしては、以下の3点があります。

①委託者兼受益者が亡くなったことによる終了
②受託者と受益者の合意による終了
③信託法に定められた終了事由による終了

この中で一番多いのは、①委託者兼受益者が亡くなったことによる終了だと思われます。
今回はこの場合で、家族信託終了時の不動産について、どういうお手続きが発生するのかを解説します。

不動産に関するお手続き

不動産を信託財産にしていた場合、家族信託を始めるにあたり、信託登記をします。
この不動産につき、どういうお手続きが必要なのかは、家族信託契約書にどう記載しているかによります。
家族信託契約が終了し、信託契約で定められた帰属権利者が、通常の不動産として所有することになります。
実務上は、信託登記の信託目録にどう記載しているかが重要になります。
信託目録に記載する内容は、家族信託契約書から必要な項目を抜粋したものになりますが、ここで必要な項目が漏れていると、終了時の登記で困ったことになります。
信託目録に何を載せるかは、我々専門職の腕の見せ所になります。
代表的な3パターンを以下にご説明します。
なお、不動産登記については司法書士の業務となり、当社でも提携司法書士と進めていくことになります。
信託登記については、以下をご覧下さい。

帰属権利者が受託者である場合

受託者が帰属権利者となる場合は、家族信託継続中の登記簿上の所有者は既に受託者であり、終了後の所有者も変わらないため、所有権移転登記ではなく、権利の変更登記となります。
この登記申請は、各法務局において手続きが統一されていませんでしたが、令和6年1月10日より受託者の単独申請で手続きできることになりました。
具体的には以下の手続きとなります。

①受託者兼帰属権利者を受益者とする受益者の変更登記
②受託者の固有財産となった旨および信託抹消登記

帰属権利者が受託者以外である場合

帰属権利者が受託者以外である場合は、例えば委託者兼受益者が父親で、受託者が長男、信託不動産の帰属権利者が二男といったケースです。
この場合は、受託者から帰属権利者へ、所有権移転および信託登記の抹消の登記をします。

信託不動産を売却して換価金を分割する場合

少し特殊なケースですが、委託者兼受益者が亡くなった後、信託不動産が空き家になり誰も住まなくなるため、売却したいというニーズがあります。
家族信託をしていない通常の相続においては、一度誰か生きている人の名義にしないと不動産の売却はできません。
家族信託においては、委託者兼受益者が亡くなったときでも、契約書と信託登記の内容によっては受託者名義のまま売却することができます。
家族信託では、終了事由が発生しても清算中は信託が継続しているとみなします。
契約書と信託登記に「清算受託者が不動産を換価処分の上、AとBに2分の1ずつ帰属させる」等の記載があれば、不動産が売却出来て換価金をAとBで分けるまで、信託が継続しているとみなされます。
つまり委託者兼受益者が亡くなっても、清算中で信託が継続しているので、不動産登記を変更する必要が無く、受託者がそのまま売却できるということになります。
売却後は換価金をAとBで分けて信託終了となります。
売却後の不動産は、所有権移転と信託登記抹消の登記をしますが、通常は買い手側ですることが多いです。
このパターンで家族信託契約書を作ることは結構ありますが、スタート時の家族信託契約書と信託登記にどう記載するかが重要になるので、要注意です。

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