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成年後見

成年後見制度を利用するときの注意事項

目次

本人のための制度

成年後見制度は、あくまでも本人のための制度です。相続人や親族のための制度ではありません。

事例①

資産家の父がいて、子どもに毎年暦年贈与をして相続税対策をしていました。
そんな父が認知症を発症してしまい、判断能力がなくなってしまいました。
子どもは後見人を付けることを検討し、家庭裁判所に申請しました。家庭裁判所の選任により後見人が付きましたが、これまで行ってきた暦年贈与は、もうできないと言われてしまいました。
いくら被後見人の意思があったとしても、贈与は本人の財産を損なうだけなので、金額や頻度にもよりますが、原則的にできなくなります。贈与による相続対策でメリットを受けるのは相続人であって、本人ではないからです。

事例②

Aさんは父親と二人暮らしをしていました。母親はAさんが子供の頃、他に好きな男性ができて、出て行ってしまいました。
ある日、父親が交通事故で突然亡くなってしまい、相続手続きが始まりました。
手続きをする中で、父親の戸籍を確認したところ、出ていった母親が妻として、まだ記載されていることが判明しました。戸籍に記載されている限りは正式な相続人なので、母親を抜きにした相続手続きは無効になります。
Aさんは、母親が特別養護老人ホームに入所していることを突き止め、訪ねていきました。母親は既に認知症を発症しており、Aさんが誰かもわからない状態でした。相続手続きをするためには、後見人を付けなければならないので、家庭裁判所の選任で後見人が付きました。
遺産分割協議が始まると、後見人は母親の法定相続分である総遺産額の2分の1を主張してきました。

このケースでは、母親に判断能力があれば、Aさんや夫に対して申し訳ないという気持ちがあり、遺産の相続を放棄したか、少ない金額での希望をしたかもしれません。しかし後見人は、本人の権利をしっかり守る必要があるため、原則として法定相続分の確保を主張することになります。
Aさんからすると、何年も音沙汰無しの母親に、いきなり遺産の半分を持って行かれるというのは納得がいかないかもしれませんが、後見制度ではこういうことが起こり得ます。

申立ての取り下げは基本的にできない

申立ての取り下げは、基本的にできません。
例えば、自分を後見人として申し立てをしたが、どうも第三者が後見人になりそうだから、申請を取り下げるといったことはできません。
取り下げには家庭裁判所の許可が必要になります。上記の理由では、まず認められないでしょう。

また、一旦後見人が付くと、基本的には本人が亡くなるまで続きます。昏睡状態だった方が意識が戻るといったときのように、判断能力が回復すれば後見は終了しますが、認知症を発症した方が、後見が必要ないまでに回復するというのはまず無いので、多くのケースでは亡くなるまで続きます。

後見制度の申し立てをするきっかけで多いのが、遺産分割協議を行うためというのがあります。このケースでも、遺産分割協議が終わったからといって、後見をやめることはできません。本人が亡くなるまでずっと続くことになります。
遺産分割の際は、配偶者や子ども等の推定相続人は利益相反になるため、後見人に就任することはできません。この場合は司法書士や弁護士等の第三者が後見人になります。


株や投資信託等の運用はできない

後見人による財産管理は、基本的な考え方として、安全な管理をしてなるべく減らさないということがあります。
本人の財産を増やすために、株式投資や投資信託はできません。元本が保証されておらず、財産を減らす可能性があるためです。
何かできるとすれば、定期預金ぐらいだと思われます。

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