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任意後見について詳しく

目次

任意後見とは

任意後見とは後見制度のひとつで、将来認知症などになったときに備え、生活・療養看護・財産管理などについて、自分の代わりにやってくれる人を決めておく契約です。

任意後見の契約

任意後見の特徴は、本人に判断能力のある時に、後見人を自分で決めることができるというところです。
任意後見の契約は、必ず公証人が作成する公正証書でしなければなりません。
任意後見の契約をしたことを、家庭裁判所等に報告する必要はありません。

任意後見の開始

任意後見契約は、この契約をしたからといって、すぐに後見業務が始まるわけではありません。
この契約が効力を生じるのは、本人が認知症等になり、判断能力が低下したときに、家庭裁判所に「任意後見監督人」の申し立てをしたときです。
家庭裁判所に任意後見監督人選任の申し立てができるのは、本人・四親等内の親族・任意後見受任者になります。
この任意後見監督人が選任されたときに、任意後見契約の効力が生じ、あらかじめ定めておいた療養看護・財産管理等を開始します。

契約の効力が生じる前は、今まで通りの生活で、契約をしたからといって、何ら変わることはありません。

任意後見監督人とは

任意後見監督人とは、家庭裁判所によって選出され、後見人を監督する人です。任意後見監督人選出を家庭裁判所に申し立て、選出されたときに任意後見契約はスタートします。
任意後見監督人になる資格は特にないため、希望者を申し立てることはできますが、最終的には家庭裁判所の判断になるため、希望者がなるとは限りません。弁護士や司法書士等が選任されることが多いです。

後見監督人には報酬が発生し、報酬額は家庭裁判所が公正な立場から決定し、本人の財産から支払われます。

後見監督人の申立て

後見監督人の申立ては家庭裁判所に対して行います。
下記の書類を郵送か来庁して提出します。

任意後見監督人選任の申立てに必要な書類

1.任意後見監督人選任申立書
2.申立事情説明書
3.任意後見受任者事情説明書
4.本人の戸籍全部事項証明書(※1)
5.本人の住民票又は戸籍附票(※1,※2)
6.任意後見契約公正証書のコピー(※3)
7.後見登記事項証明書(任意後見)(※1)
8.後見登記されていないことの証明書(※1,※4)
9.親族関係図
10.診断書(成年後見制度用)(※1)
11.本人の財産目録及び収支予定表
12.本人の財産・収支に関する資料のコピー(※3)
【不動産】不動産登記事項証明書
【預貯金】通帳・証書(直近1年分)
【株式等】有価証券(株式,投資信託,国債等),取引残高明細書等
【保 険】保険証書等
【負 債】契約書,保証書等
【収 入】年金通知書,給与明細書等
【支 出】医療費・施設費の領収書(直近3か月分),税金・社会保険の通知書(納付指示書),請求書等
13.収入印紙 800円 1組(申立書に貼付してください。)
14.収入印紙1400円 1組(申立書には貼付しないでください。)
15.郵便切手3195円
(内訳)500円×4枚,84円×10枚,20円×10枚,
10円×10枚,5円×5枚,2円×10枚,1円×10枚 
※1 できるかぎり最新のもの(申立予定日からさかのぼって3か月以内)を提出してください。
※2 住民票は,個人番号(マイナンバー)が記載されていないものを提出してください。
※3 資料等のコピー方法は,「資料のコピーの取り方」を参考にしてください。
※4 証明事項については,「成年被後見人,被保佐人,被補助人とする記録がない。」欄にチェックをして申請してください。
(注) 審理に必要な場合は,追加で書類の提出をお願いすることがあります。

書類の提出をしたら、家庭裁判所調査官による調査があります。
1.任意後見受任者調査(面接)
2.本人調査(面接)
  本人が入院等により外出困難な場合は、家庭裁判所調査官が病院等に出向きます。
3.親族の意向確認
  本人の親族に対し、書面等で申し立ての概要を伝え、意向を確認することがあります。

任意後見と法定後見の違い

任意後見の場合は、自分がしっかりしているときに、将来財産管理を任せる人を自分で選ぶことができます。
法定後見の場合は、自分の判断能力が衰えた後に後見人が付き、家庭裁判所が後見人を選ぶため、見知らぬ人が就任することもあります。

任意後見の場合は、本人がしっかりしているときからの付き合いになるので、本人の趣味嗜好が分かったうえで後見業務が始まるので、より自分らしい生活を送ることができます。
法定後見で全く面識のない人が後見人になった場合、親族や施設のスタッフ等に聞き込みを行い、本人の趣味嗜好を把握するように努めますが、本当に本人の希望に沿っているのか悩ましいことがあります。

法定後見のうち、保佐・後見が開始すると、会社の役員の資格を喪失し、医師や弁護士の資格も喪失します。任意後見ではこのようなことはありません。そもそも任意後見が発動する状態で、医師業務が続けられるとも思えませんが。

一番大きな違いは、法定後見には取消権があるのに対し、任意後見にはないということです。
訪問販売等で不必要なものを買ってしまったとき、法定後見人は、その契約を取り消すことができますが、任意後見人にはそこまでの権限はありません。
頻繁に訪問販売被害にあうような状態ならば、法定後見の方が向いているといえます。

任意後見の場合、報酬は後見人にも払うとすると、後見人と後見監督人の2人分かかることになります。
法定後見の場合は、後見人の分だけになります。法定後見の場合でも後見監督人が付くことがありますが、このときは後見監督人の報酬も発生します。

任意後見と法定後見を比べた場合、本人の希望に沿った後見業務ができるのは、任意後見ですが、頻繁に取消権の発動をしなければならないような場合は、法定後見の方が向いていると言えるでしょう。




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